高齢化社会に対応したインプラントのご提案

現在、日本は “超高齢社会” といわれ、4人に1人が65歳以上のシルバー世代が占めています。今後もさらに高齢化は進行すると予想されていますが、年齢が高くなればなるほど歯を失っている人の割合も増え、高齢者の健康とQOL(生活の質)に大きな影響を及ぼしています。
失ってしまった歯を取り戻すことはできませんが、その機能回復の方法として義歯(入れ歯)やブリッジ、インプラントなどがあります。その中でも、天然歯に遜色のない咀嚼力を取り戻すことができるのは唯一、インプラントだけです。ただ、インプラントは手術を伴うことやインプラントの本数が増えればそれだけ費用がかさむことから、高齢者にとってはハードルが高くなっているのではないかと考えます。
そうした現状を踏まえ、当院では手術の負担を軽くすると同時に費用も抑えた形で治療が受けられるインプラントをご提案しています。

「義歯」+「インプラント」の組み合わせ治療

(1)義歯(入れ歯)をインプラントで支える方法

「義歯(入れ歯)+インプラント」という組み合わせによる治療は、すでにお使いになられている入れ歯を2本のインプラントで固定するという方法です。
現在されている入れ歯が痛い、外れやすい、硬いものが噛めないといった悩みをお持ちの方にお勧めです。
通常のインプラント治療は欠損した歯の本数分か、それに見合った数のインプラントが必要になるため、あごの骨の量も十分にあり、手術に耐えうるだけの体力も必要となり、高齢者にとっては負担が大きい場合があります。
この「義歯(入れ歯)+インプラント」治療ではインプラントの埋入本数が2本と少ないので手術時間が短縮できるというメリットがあります。また、上部構造が義歯である点で費用も抑えられ、通常のインプラント治療の3分の1から4分の1程度の費用ですみます。
義歯はアタッチメントによってインプラントと着脱可能となりますが、噛むという機能の点でも十分に満足のいくもので外れたり、痛いということもなく、硬いものでも支障なく噛むことができます。
審美的にも、ひっかけて使う金属の部分がなくなるので優れています。

(2)まったく歯のない方の場合

歯をすべて失った方の場合も同様に2本ないし4本のインプラントで総義歯(総入れ歯)を固定することができます。もちろん6本以上のインプラントを埋入することが可能であれば(骨の量が十分にあることが条件)、固定式(取り外さない)のブリッジタイプの歯を装着することが可能であり、しっかり噛めるという点ではこの方法がベストですが、高額な費用になってしまうケースが多くなります。
そこまで理想的な噛み心地を追求せずともよいという方の場合は、慣れ親しんだ総入れ歯で硬いものもしっかりと噛め、日常生活も問題なく過ごせる「総入れ歯+インプラント」の治療をお勧めしています。インプラントの本数が抑えられることと上部構造が総義歯である点で割安となり、費用が抑えられます。

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このように一口にインプラント治療といっても、上部構造の違いによってバリエーションが出てきます。
理想の噛み心地を追求したいという方の場合はそれだけ数多くのインプラントが必要になってきます。ただ、そこまでしなくても、現在の義歯でしっかりと噛めればよいという方もいらっしゃると思いますので、それぞれの利点と欠点のお話をさせていただきながら、患者さまにとってベストな治療法を選択していきたいと考えています。

(3)「義歯」+「インプラント」治療の毎日のケアについて

通常のインプラント治療では上部構造(人工歯)はアバットメントという部品を介してインプラント体にしっかりと固定されるので取り外しはできません。
一方、「義歯」+「インプラント」の組み合わせ治療では、アタッチメントという差し込み式の装置によって義歯の取り外しが可能です。
アタッチメントには磁石、ボール等の種類があり、最近ではロケーターといって、樹脂製のディスク(維持部分)を用いるものがあります。ディスクは劣化等により交換可能であることと、維持力の調節が樹脂ディスクの交換によってできるなどのメリットがあり、普及が進んでいます。
普段のお手入れに関してもこれまで同様、義歯を外して汚れを落としていただければよく、比較的容易だといえます。とくに高齢者の方にとっては負担が少ないといえ、介護の現場では口腔内の清掃が容易であるという点でメリットがあります。